【物理】単位は計算問題が驚くほど簡単になる必殺技!?

単位

物理の計算問題、ややこしくて苦手、という人が多いかなと思います。

質量m、時間t、重力gなど、物理の計算問題は様々な種類の物理量を組み合わせる必要があるため、ものすごく複雑な形になることもあります。
それに加えて間違いやすい公式も数々使用するので苦手な方も多いかと思います。

そんな計算問題ですが、単位を理解するだけで、ぐっと分かるようになるんです!

ここでは物理の計算問題に生かせる単位のお話をいたします。

主な物理量の単位

MKSA単位系

まず初めに、MKSA単位系という言葉があります。

いきなり英語が出てきてビックリ! なんて驚く必要はありません。
MKSAというのは、長さの単位であるm(メートル)、重さの単位であるkg(キログラム)、時間の単位であるs(秒)、電流の単位であるA(アンペア)の4つの頭文字を組み合わせただけの言葉です。
簡単でしょう?

実は力学や電磁気学に出てくる物理量の単位は、全てこの4つの単位の掛け合わせで表すことができます。(※1)

(※1)力学や電磁気学以外に出てくる物理量の単位は?

SI単位系と呼ばれ、MKSA単位系の4つに加え、絶対温度の単位であるK(ケルビン)、光度の単位であるcd(カンデラ)、物質量の単位であるmol(モル)の3つを加えた単位系のことを言います。

SI単位系の7つを使用すればあらゆる物理量の単位を表すことが可能です。

MKSA単位系で表してみよう

わかりやすいところで言うならば、速さの単位です。

速さは\(距離(m) \div 時間(s)\)で求めることができるので、単位は\(m・s^{−1}\)というように表すことができます。

「電圧の単位はV(ボルト)なので、MKSAで表していないじゃないか」と考える方もいらっしゃるかと思います。

しかし電圧の単位であるV(ボルト)は、\(m^2・kg・s^{−3}・A^{−1}\)というように表すことができます。(導出は他の教科書に譲ります)

以下に主な物理量の単位を記載しておきます。

\(質量密度ρ    質量(kg) \div 面積(m^2) \)より\( m^{-2}・kg \)

力N                         運動方程式(\(ma=F\))より、

質量(kg) \(\times 加速度(m・s^{−2}\))で  \(m・kg・s^{−2}\)

エネルギーJ          \(力(m・kg・s^{−2}) \times 距離(m)\) がエネルギーと等しいので \(m^2・kg・s^{-2}\)

電機抵抗Ω             \(電圧(m^2・kg・s^{−3}・A^{−1}) \div 電流(A)\) より \(m^2・kg・s^{−3}・A^{−2}\)

磁束Wb                  \(電圧(m^2・kg・s^{−3}・A^{−1}) \times 時間(s)\)より \(m^2・kg・s^{−2}・A^{−1}\)

MKSA単位系はややこしいものも含まれており、覚える必要はありません

物理量の単位は、単位の掛け算や割り算の組み合わせで作られていることは知っておきましょう。

公式と単位

覚えにくい公式は単位に注目

物理の公式は、分母分子がこんがらがったり、使用する物理量が正しいか不安になったりすると思います。

そんな時に単位を理解していれば助けてくれる場合があります。

実際に単位計算を行ってみましょう。

例えば…

単振り子の問題

単振り子の問題で、単振り子長さをl、重力加速度をgとした場合、周期が 2π\(\sqrt{\frac{g}{l}}\) になるのか、2π\(\sqrt{\frac{l}{g}}\)になるのかを悩むことがあるかと思います。

そんな時には単位に注目してみましょう。

ここで 2π\(\sqrt{\frac{g}{l}}\) と 2π\(\sqrt{\frac{l}{g}}\) のそれぞれの単位を考えてみましょう。

2πには単位はなく、lは長さですので単位はm(メートル)、gは重力加速度ですので単位は\( m・s^{-2} \)です。

2π\(\sqrt{\frac{g}{l}} \)の単位は、 \(\sqrt{\frac{ms^{-2}} {m}}\) より\( s^{-1} \)であるとわかります。

2π\(\sqrt{\frac{l}{g}}\) の単位は、 \(\sqrt{\frac{m}{ms^{-2}} }\) より s であるとわかります。

周期というのは1回サイクルにかかる時間のことですので、もちろん単位はs(秒)です。

従って単振り子の周期として適しているのは2π\(\sqrt{\frac{l}{g}}\) の方だということがわかります。

センター試験

このテクニックはセンター試験のような問題にも役に立つことがあります。

例えば、速度を求める問題で次の二つの選択肢で悩んでいるとします。

ばね定数をk、ばねの伸びをx、質量をmであるとして、\(k・\frac{x^2}{m}\) なのか\(\sqrt{k・\frac{x^2}{m}}\) なのかで悩んでいるとします。

さっそく単位を計算してしましょう。

まずばね定数kの単位ですが、ばね定数 \(\times\) ばねの伸び\(=\)力となることより単位を求めることが可能です。

力の単位は運動方程式(\(ma=F\))より、\(m・kg・s^{-2}\)であるので、ばね定数の単位は\(kg・s^{-2}\)であるといえます。

\(\frac{k・x^2}{m}\) の単位は \(kg・s^{-2} \times \frac{m^2}{ kg}\) より\(m^2・s^{-2}\) であるとわかります。

\(\sqrt{k・\frac{x^2}{m}}\) の単位は\(\sqrt {kg・s^{-2} \times \frac{m^2}{ kg }}\)より\(m・s^{-1}\) であるとわかります。

今回求めたいものは速度ですので、適しているのは速度の単位を持っている\(\sqrt{k・\frac{x^2}{m}}\) の方であると言えます。

まとめ

初めは単位の計算は少し難しいように思えるかもしれません。

しかし、単位の計算は意外と役に立つ場面が多いです。

一度単位の方にも意識を向けてみると、点数アップ間違いなしかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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