春秋戦国時代の中国の思想家である孫子曰く、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と。
今回はこの「彼を知る」、つまり入試の分析についてフォーカスしていこうと思います。
入試分析の重要性
入試分析とは、受験勉強におけるゴールを定めることに等しいです。
もし仮に100m走においてゴールと逆方向にスタートしてしまったら、あるいは途中であらぬ方向に曲がってしまったら、ゴールテープを切ることはできません。
100m走では明確にゴールが分かるのでゴールテープが切れないことにはなりませんが、こと受験においてはゴールが明確ではありません。
もちろん「合格」というゴールはありますが、それでは曖昧です。
自分の現状と入試時点での理想の状態を明確に定義し、それに向かって正しく努力しなければ「合格」というゴールテープは切れないでしょう。
入試分析の意義は、入試時点での理想を明確に定めるために必要と言えます。
入試の分析について極端な例を挙げると、入試問題は記述式なのにマーク形式の問題ばかり解き続けては合格に必要な記述力は身につきにくいでしょう。
その結果、不合格という現実を叩きつけられる可能性は高くなります。
このような事態は赤本を読めば分かるのでほぼ避けられることなのですが、入試分析不足とはこのように本来は避けられるものであることが多いです。
入試分析の方法
それでは早速、方法論に入っていきたいと思います。
まずは志望校の赤本や青本などの過去問を手元に用意しましょう。持ってない人は速やかに入手してください。
過去問を知ることで本番の問題の雰囲気を感じられるため、目標が定まった段階で用意できるとよいでしょう。
これについては高校3年生に対してのみではなく、2年生や1年生に対しても言えます。
なお、現時点においてまだ志望先が決まっていなければ、個人的には東京大学を勧めています。
なぜかと言うと、他大学の入試問題では東京大学の入試問題にインスパイアされた出題が散見されるからです。
様々な大学の過去問を分析すると「東京大学があのテーマを出題したから、うちも出してみました」という背景が読み取れることがあります。
また、最初に東京大学という日本で最難関の大学を目指しておいて、その後「地元の国立大学の医学部に志望を変更する」といったことがしやすいメリットもあります。
もちろん変更した際には入試分析のやり直しが必要になります。インスパイアされているとはいえ、傾向は各大学で異なるからです。
傾向と対策
ところで、赤本には冒頭に傾向と対策という項目があるのはご存知でしょうか。
そこが赤本で1番大切なページであると言っても過言ではないかもしれません。
そこに書かれている内容のうち、まずは受験科目のみで構いませんので熟読して、ノートなどにまとめてみてください。
この際、旧帝国大学をはじめとする超難関大学を志望する方は、駿台予備校や河合塾などの大手予備校がホームページ上で無料で公開している傾向と対策などを利用するのもよいでしょう。
その後、5年分の過去問に目を通しましょう。この時、なるべく古いものから着手するように心がけてください。
古くなるにつれて、最新の傾向から離れていくからです。
分析の際には問題は解く必要はありません。
もちろん解ける問題があれば解いてもよいのですが、大切なのは「今」解けることではなく、「入試時点で」解けることです。
目を通す時に重要なのは、「この問題は自分にとって簡単なのか難しいのか」です。
このような分析が十分にできていない人は、まずこれから始めましょう。
この部分で曖昧になってしまうと明確にゴールを定義できません。
次に、赤本には合格最低点や合格者平均点が記載されています(大学によっては公表していないので注意)ので、合格者平均点の5年分の平均点を目標点として定め、どの科目でどのくらい点数を取ればよいのか定めます。
平均点が公表されていない場合は、おおよそ7割を目処に目標点を定めます(センター試験は9割)。
この際にしっかりと分析ができていれば、無謀な目標点は定めないはずです。
何故平均点かというと、最低点を目標に定めると仮にその目標を達成できたとしても年によっては不合格となり得る可能性があるからです。
平均点ならば、仮に上昇して達成できなかったとしても最低点は超え、合格できる可能性が高いからである。
これを達成できればほぼ間違いなく合格できるという安心感があれば、辛い受験勉強にも身が入りやすいでしょう。
目標点を定めたら、傾向と対策をまとめたノートなどに書き込み、それを部屋の見やすい位置に貼り何時でも確認できるようにしておきます。
モチベーションを維持するには効果的です。
終わりに
改めてお伝えしますと、このような分析をおろそかにしてしまうとゴールから遠のいてしまいます。
また、可能な限り第2志望や第3志望についても分析してみてください。全国には80以上もの医学部があります。
その複数の入試問題を分析し比較することで、第1志望では何が求められているのか見えてくるはずです。
また、共通点を見つけ出すことで、医師として求められる能力は何かが少なからず見えてくるでしょう。
これらは入試だけではなく、医学部に入学した後も役に立つはずです。
最後に、このような稚拙な文章を最後まで読んでくれた読者の方が無事医学部に合格し、立派な医師になってくれることを願って筆をおこうと思います。
よろしければこちらの記事もご参考になさってください。
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