【化学】molの正体って?誰もがつまづく物質量を理解しよう!

数学

高校化学の計算問題において、最重要でありながらなかなか得体の知れない「mol」。みなさんは物質量が絡んだ計算問題は苦手ではないでしょうか?

当記事ではその物質量の正体をわかりやすく解説いたします。正しくmolを理解して、計算問題の得点アップにつなげましょう。

 

mol とはどういう単位なのか

端的に言ってしまうと、molとは個数を表す単位です厳密にはそうではないのですが、高校化学の計算問題を解くにあたっては、個数という認識で十分な理解であると言えるでしょう。

アボガドロ定数について

みなさんもご存知の通り、この世の物質は無数の小さな粒子の集合で成り立っています。

具体的には、12gの炭素12(質量数が12である炭素)は約 6.02 × 10²³ 個の炭素原子から成り立っています。

地球上にいる人間の数がせいぜい 1.0× 10¹º 人程度であることから、とてつもなく多いと言えますね。 

アボガドロ定数はNAと表記され、次のように表される定数です。

NA = 6.02 × 10²³ /mol

厳密には、6.022~ と続いていくのですがここでは省略しています。

アボガドロ定数は、粒子の数についての定数です。6.02 × 10²³ という値は非常に有名な値ですので、覚えてしまいましょう。

(余談ですが、このアボガドロ定数に因んで10月23日は化学の日とされています。)

molについて

物質は無数の粒子から成り立っていると述べましたが、mol はその莫大な数を扱いやすくするための単位です。

例えば、60gの炭素12の塊があるとします。この時、この塊はどれだけの粒子から成り立っているかを考えてみましょう。

先に述べたように、12gの炭素12は約 6.02 × 10²³ 個の炭素原子から成り立っています。

60gは12gの5倍なので、粒子の数も当然5倍になります。従って、 6.02 × 10²³ 個の5倍の 30.10 × 10²³ 個の粒子から成り立っていると言えます。

このように粒子の数を考えたときに、数字が大きすぎて少々扱い辛く感じます。そこで登場するのがmolです。

1mol = 6.02 × 10²³ 個

1molが 6.02 × 10²³ 個の塊であると考えます。そうすることで先ほどの60gの炭素12の塊も、単純に1molの5倍である、5mol であると表現することができます。

数字がすっきりすることで他の計算にも使いやすいといえますね。

練習問題

ここで練習問題を用いて、さらに理解を固めていきましょう。

 

0.5molの二酸化炭素分子にはCO2、C、Oがそれぞれ何個含まれているでしょう?ただし、アボガドロ定数を6.02 × 10²³  /molとする。

1molが6.02 × 10²³ 個であるので、0.5molの二酸化炭素の塊には0.5倍の 3.01 × 10²³ 個のCO2が含まれています。

 

1つのCO2はCが1つ、Oが2つから成り立っているので、 CO2が3.01 × 10²³ 個含まれているならば、Cも3.01 × 10²³ 個含まれており、Oはその2倍の6.02 × 10²³ 個含まれています。

 

15.05 × 10²³ 個の水分子は何molでしょう?ただし、アボガドロ定数を6.02 × 10²³ /molとする。

(15.05 × 10²³) ÷ (6.02 × 10²³) = 2.5 より、15.05 × 10²³ 個 は 6.02 × 10²³ 個の2.5倍です。

 

6.02 × 10²³ 個は1molですので、15.05 × 10²³ 個 は2.5molです。

 

以上の計算問題のように、molの絡んだ問題は比で考えることが非常に多いです。

モル質量とはなにか

molの計算と言えばモル質量。高校化学のどの単元の計算問題にも、このモル質量が登場します。

計算問題が苦手だって人も、このモル質量さえ理解してしまえば、案外できるようになるかもしれません。

モル質量の意味

モル質量の単位は g/mol で、意味は1molあたりの質量です。

つまり、ある物質を1molだけ(すなわち 6.02 × 10²³ 個だけ)とってこればどれだけの質量になるかを表した値です。

一般的に物質ごとに異なった値をもっています。

 

例えば、モル質量が16g/mol の物質があるとします。

この物質が3molあれば、質量は3倍の48gであり、0.2molあれば質量は0.2倍の3.2gです。単位からもわかるように、molを掛けることで質量になります。

原子量や分子量との違いとは

モル質量とよく混合されるのが原子量や分子量と呼ばれるものです。

例えば水素の原子量は1、酸素の原子量は16、水の分子量は18です。(水はH2O。これは分子であり、水素二つ、酸素一つから成っている。だから1+1+16で分子量は18)

原子量や分子量には単位がなく、モル質量とは異なるものです。

ただ、高校化学の計算問題においては、原子量や分子量はモル質量のように扱っても問題ありません。

なぜ単位がないのかは以下で説明しますが、読み飛ばしていただいても構いません。

原子量や分子量とは

どうして原子量や分子量には単位がないのか。それはこれらは相対質量であるからです。

どういうことかというと、炭素1つの相対質量を12であるとし、それを基準にして考えています。例えば水素が12個あると、炭素1つと釣り合います。このことから水素は炭素の12分の1の質量を持っていることがわかります。従って水素の相対質量は1であるといえる。

このように、炭素を基準として、それの何倍かということを表しているので、原子量や分子量は比の値であり、単位はありません。

練習問題

すこし難しく感じるかもしれませんが、練習問題を通して理解につなげましょう。原子量は通常、問題ごとに与えられるので、覚える必要はありませんが、計算を通して覚えてしまえば、よりスムーズに解くことが可能です。

 

1.5molの二酸化炭素はどれだけの重さか?ただし、炭素の原子量は12、酸素の原子量は16である。

まずは二酸化炭素の分子量を計算しましょう。二酸化炭素の化学式はCO2ですので分子量は、12+16×2=48であると計算できます。

 

分子量とモル質量の値は同じであるので、二酸化炭素のモル質量は48g/molです。

 

1molで48gの質量を持つので、1.5molの場合は48gを1.5倍して、72gであると言えます。

 

6.8gのアンモニアは何molか?ただし、アンモニアが水素の原子量は1で、窒素の原子量は14である。

ますはアンモニアの分子量を計算しましょう。アンモニアの化学式はNH3ですので分子量は、14+1×3=17であると計算できます。

 

分子量とモル質量の値は同じであるので、アンモニアのモル質量は17g/molです。

 

1molで17gの質量を持つ物質が、x molで6.8gの重さを持つとすると、

1mol:17g = xmol:6.8g

このように比の式を立てることができます。

 

あとは内項の積と外項の積が等しいことより、x=6.8÷17を計算して、アンモニアのモル数は0.4molであると言えます。

 

炭素原子1つの質量はどれだけか?ただし、炭素の原子量は12であり、アボガドロ定数は6.0×10²³ /mol であるとする。

すこし難しく感じますが、ゆっくりと考えてみましょう。

 

まず炭素の原子量が12であるので、炭素のモル質量も12g/molであると言えます。

これは、1molの炭素は12gの質量を持つ、ということでしたね。

 

また問題文のアボガドロ定数より、1molは6.0 × 10²³ 個であることが言えます。

 

すなわち、6.0×10²³ 個の炭素の質量が12gであると言い換えることができます。

 

今知りたいのは炭素原子1個の質量なので、それをx gとすると、次のような比の式を立てることができます。

 

6.0 × 10²³ 個 : 12g = 1個 : xg

 

これも内項の積と外項の積が等しいことより、x=12÷(6.0 × 10²³) を計算して、炭素原子1つの重さは2.0 × 10¯²³ gであるといえます。

まとめ

  • mol とは個数を表す単位で、膨大で扱いにくい粒子の数をシンプルにするための単位である。
  • 1molは約6.02 × 10²³ 個で、この6.02 × 10²³ /mol をアボガドロ定数という。
  • モル質量とは1molあたりの質量のことをいう。
  • 原子量や分子量の値はモル質量と同じ
ただ暗記するだけではなく、しっかりと意味を理解することにより、計算問題が得意になりますよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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