手続き的記憶という言葉をご存知でしょうか。
あまり聴き馴染みのない言葉ですので、ピンとこない方も多いかもしれません。
その名の通り「手続き」に関連する記憶を指しますが、主に身体の動きなどに関する記憶です。
実はこの手続き的記憶を勉強に活かす画期的な方法がございますので、今回ご紹介させていただきます。
手続き的記憶とは
例えばシャンプーや歯磨きのように毎日行う行動について、いちいち思い出したりしませんよね。
恐らく多くの方が無意識でこれらの動作を行っていると思いますが、これはシャンプーや歯磨きをするときの動きや手続き(歯磨き粉を歯ブラシに付けるなど)が手続き的記憶の中に格納されている情報だからです。
手続き的記憶とは無意識で行う作業の流れについて記憶しておく部分ですので、一見すると勉強や暗記については無関係な記憶に思えます。
しかし、実はこの手続き的記憶に関しても、暗記に使える有効な方法があるのです。
皆さんは過去に、手の指の先端と指の又をひとつずつタッチしながら「天国、地獄、大地獄」という遊びをした記憶はありませんか。
簡単に言えばあの遊びを勉強に応用すればよいのです。
実際に勉強に落とし込むための具体的な方法や効果について解説してきますので、ぜひご覧ください。
手続き的記憶=動作の記憶
手続き的記憶は、ある一連の業務フローを格納しておく記憶領域のひとつで、長期記憶に分類されます。
日頃行っている歯磨き、シャンプーといった簡単な作業から、タイピングといったものまで、動作に関連する記憶がこの手続き的記憶に格納されています。
特徴としては、反復学習を行うことで身につき、半永久的にその記憶は格納され続けるといったことが挙げられます。
- 反復学習を行うことで身につく
- 半永久的にその記憶は格納され続ける
忘れようとしても忘れられませんし、逆に思い出そうとしても意識的に思い出すことはできません。
こうした思い出せない記憶を潜在的記憶と呼び、思い出そうとして思い出せる記憶のことを顕在的記憶と呼びます。
例えば車の運転を十数年していない人が、車に久しぶりに乗ったときにも操作方法をサッと思い出せることってありますよね。
あれは手続き的記憶がしっかりと長期記憶に残っていたため、同様の状況におかれた際、すんなりとその動作について思い出すことができたのです。
本人に「運転するときの流れを言語化して」と頼んでも恐らく上手くできないでしょうが、実際に運転席に座ればスムーズに操作ができてしまうのです。
手続き的記憶を身につけるまでには反復学習と時間が必要となりますが、一度身につけてしまえば半永久的に残り続ける特徴がある、ということがお分かりいただけたと思います。
手続き的記憶はどうすれば身につくのか
例えばシャンプーや歯磨きについても、毎日同じことを行っているから素早く無意識で同じ行動ができるのであって、ホテルや旅館に泊まったり引っ越したりすると無意識では行えませんよね。
同じ環境、同じ状況で同じ行動をすることが必要となるのです。
毎日同じ行動を繰り返すことで細かな動きの最適化が行われていきます。
素早く、低負荷のやり方を少しずつ覚えていき、あるところでその行動が完成すると完全に記憶されます。
昔から「手に職をつける」と言いますが、この「職」に当たる部分が手続き的記憶です。
寿司職人は魚の切り方を忘れませんし、美容師はハサミの持ち方を忘れませんよね。
仕事で反芻した経験は、「手続き的記憶」として体に染み込んでいるのです。
手続き的記憶を暗記に活かす方法
この半永久的に残る手続き的記憶を暗記に応用すればとても強い味方になります。
自分の身体を使ったパターン運動をいくつか用意しておき、その運動と暗記したい内容を結びつけていくことで強力なヒントを手に入れることができます。
例えば冒頭でご紹介した「天国、地獄、大地獄」のような、一定の決まった動きに言葉を当てはめることでその行動自体がヒントとして機能してくれます。
ダンスや小さな動きに意味を見出して記憶に紐づけて暗記することで、普段格納している「意味記憶」だけではなく「手続き的記憶」も巻き込んだ記憶が可能になるのです。
手続き的記憶を取り入れて効率的な勉強法を編み出そう
手続き的記憶を暗記に活かす方法をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
普段のリハーサルを繰り返すような暗記方法ばかりでは息が詰まってしまいます。
どうしても覚えられなさそうな部分については、こうした裏技を併用していくことで楽しく効率的な暗記が可能になると思います。
暗記過程を楽しめるようになると勉強がとても楽になります。
ぜひ、あなたなりの楽で効率的な暗記方法を編み出して、勉強を乗り切っていきましょう。
ご覧いただきありがとうございました。
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