学生時代が終われば、勉強する機会もなくなる…というのは過去の話。世の中が目まぐるしく変化する現代では、生涯学習・リカレント教育(学校での社会人再教育)が非常に重要視されています。とはいえ、仕事をしながら大学に通うのは時間の面でも学費の面でもなかなか大変です。そんな悩める社会人にお勧めしたいのが、自宅で学べる通信制の大学です。
今回は社会人教育に長年の実績がある通信制大学「放送大学」についてご紹介します。
放送大学の概要
放送大学はBSテレビ・ラジオ・インターネットで学ぶことができる通信制の大学です。自宅に居ながら自分の都合の良い時間に勉強ができるので、忙しい社会人にはぴったりです(科目によっては教室に通って直接教員から授業を受ける面接授業がある場合があります)。
放送大学は普通の大学のように4年間の在籍期間が決まっているわけではありません。もちろん、大学卒業の資格を得るためのコースもありますが、自分が好きな科目だけを学んだり、資格取得のために必要な科目だけを受講することもできます。自分に必要な科目だけを選ぶことで学費をぐっと抑えることができ、非常に経済的です。
柔軟に勉強できる放送大学は生涯学習の場として利用されています。学生の割合が最も多いのは定年世代の60代以上、次に働き盛りの40代がランクインしています。
放送大学での学習システム
放送大学の学習システムは、基本的に教科書を自分で読み、テレビ・ラジオ・動画で学習を進めていく「独学スタイル」です(一部科目には面接授業といって、普通の大学のように教室で授業を受けるものもあります。)。
自宅で勉強を進めても良いですが、時間があるときは全国にある学習センターやサテライトスペースに出かけて行って勉強するのも楽しいものです。
学習センターには、放送大学で学ぶ仲間が集まっていますし、サークル活動も行われていますので、独学では寂しいという人にうってつけです。
科目の学習を1通り終えたら、いよいよ単位認定試験に臨みます。試験に合格することで、科目の単位を取得することができます。
放送大学で学べるカリキュラム例
放送大学では、例えば以下のようなカリキュラムを受講することが可能です。
- 教員が上位免許や他教科の教員免許を取るためのカリキュラム
- 大学卒業資格(学士号)を取得するためのカリキュラム
- 認定心理士の資格を取るためのカリキュラム
- 准看護師が看護師国家試験の受験資格を得るためのカリキュラム
放送大学のメリット
では、他の通信制大学と比べた放送大学ならではの利点とはどのようなものでしょうか。
費用が安い
シンプルな学習システムを持っている放送大学は、他の通信制大学に比べ、価格がリーズナブルです。受講する科目を1教科から選べるので、自分が取りたい科目だけを無駄なくとることができます。これは学費を抑えるのにありがたい仕組みです。
全国に支部がある
放送大学は全国に学習センター・学習センターのブランチ・センターとなるサテライトスペースがあります。学習センターでは以下のようなことが可能です。
放送授業を再視聴できる
面接授業を受ける(教養学部のみ)
単位認定試験を受ける
学習相談を受ける
書籍、印刷教材の閲覧
サークル活動などの学生交流
学生証や証明書の発行(サテライトスペース除く)
つまり、放送大学本部並みの役割を学習センター・サテライトスペースで受けることができるというわけです。通信制大学の本部が自宅から遠い場合はちょっとした学習相談や学籍上の手続きにも手間がかかるものですが、放送大学の場合その心配は不要です。
学習センター・サテライトスペースは全国57カ所に設置されているため、地方に住んでいても安心です。
さらに学習センター・サテライトスペースは土曜・日曜も開いている(休館日は月曜)ので、仕事をしている人でも立ち寄りやすくなっています。センター内には学習に適した図書室が設けられているので、自宅ではどうも集中できないという人の勉強スペースとしても最適です。図書室では放送大学の授業を再試聴・先取り視聴することもできます。もちろん、試験前の勉強をするにも便利です。
また、面接授業が学習センター・サテライトスペースで手軽に受講できるのも放送大学のメリットです。通信大学において面接授業は教授から直接知識を学べるうえ、一緒に学ぶ仲間たちと出会える貴重な機会です。しかし面接授業は大学本校で行われることが多いので、日程調整や交通費・宿泊費の面で大きな負担になることもあります。
一方放送大学の場合は、地方にある各学習センター・サテライトスペースで面接授業を行うため、授業会場へのアクセスが非常によくなります。自分の住んでいる地域の学習センターで行われる面接授業のみならず、他の地方で行われている面接授業に申し込むことも可能です。
豊富なカリキュラム
放送大学には大学(教養学部)と大学院(文化科学研究所)があります。大学には「生活と福祉」「心理と教育」「社会と産業」「人間と文化」「情報」「自然と環境」の6つのコースから自分の好きなものを選べます。また受講したい科目や在学年度によって「全科履修生」「選科履修生」「科目履修生」「集中科目履修生」の4つから学生形態を選ぶことができるようになっています。学士の資格が欲しい人は全科目履修生、特定の科目のみ履修したい人は選科履修生(在学期間1年)か科目履修生(在学期間半年)を選びます。集中科目のみ受講する人は集中科目履修生を選ぶことになります。4つの形態から自分の目的に合ったものを選ぶことで、学費を抑えることができます。
また大学院は「生活健康科学」「人間発達科学」「臨床心理学」「社会経営科学」「人文学」「情報学」「自然環境科学」の7つのプログラムが用意されています。学生形態も「修士全科生」「修士選科生」「修士科目生」の3つに分かれています。
このように、放送大学では豊富なカリキュラムを取り揃えているので、職業・年齢にかかわらず自分にぴったりの科目やコースを探すことができるはずです。
放送大学のデメリット
試験日程がバラバラになることがある
放送大学の試験期間は、約1週間で、どの日程・時間帯にどの科目の試験があるのかはあらかじめ指定されており、動かすことはできません。
そのため、自分の受講したい科目が1週間内にバラバラに配置されており、
- 試験期間中何度も会場に通わなければならない
- 午前の部最初と午後の部最後の試験で間に膨大な空き時間ができてしまう
- スケジュール調整が難しい
などの不都合が起きる可能性があります。
1から資格を取れるカリキュラムが少ない
放送大学では様々な資格取得のための授業を展開しています。既にある種の専門分野で活躍している社会人のキャリアアップにつながるカリキュラムはとても充実しています。
一方で、「一から資格を取りたい」という人が選べるカリキュラムは少ないといえます。例えば、教員免許を持たない社会人が、これから先生になろうという場合は放送大学ではなく、別の教育学部を持っている通信制大学を選ばなければなりません。
特に教育系の資格がない人でも通信制で教員免許を取得できる大学は、佛教大学、玉川大学、明星大学などがあります。
生涯学習の場に放送大学を
放送大学は豊富なカリキュラムとリーズナブルな価格が魅力的な通信制大学です。社会人になってからも「学びたい」という欲求を持つ人にとってはとても魅力的な制度が整っています。図書館や公民館などに大学案内が置かれているので、気になる人は一度手に取ってみてください。
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