資格試験や試験勉強において、重要となるのはやはり暗記の分野ですよね。
やはり馴染みのない科目であったり、難解な言葉が頻出するようでは暗記するのも一苦労ですし、気持ちも重くなりがちです。
しかし、それはあなたが有効な暗記方法を知らないからかもしれません。
質問ですが、記憶についてあなたはどれほど理解していますか?
短期記憶と長期記憶という言葉を聞いたことはあると思いますが、その違いを述べられますか?
実は記憶のメカニズムについての研究は進んでいますが、未だにその知識は定着していないのが実情なのです。
おかしなことに、記憶について勉強することで効率的に暗記する方法が身につくのに、多くの人は記憶について知ろうとはせず、誤った暗記法や勉強法を続けています。
この記事ではまず記憶のメカニズムについて触れた後、うまく記憶のメカニズムを利用した記憶法、暗記法について述べていきます。
この記事を読めば、これまで辛かった暗記の日々とはおさらばできますし、この先資格試験や試験勉強で苦しむこともなくなるでしょう。
記憶のメカニズムを学ぶ
まず、記憶の原理については様々な仮説が立てられていますが、現在最も有力な記憶に関する仮説はアトキンソンとシフリンの記憶の二重貯蔵庫モデルです。
これによると、記憶はまず短期記憶、長期記憶の二つの容れ物から成っており、一度すべての情報は短期記憶に格納され、その中で意味のある情報だと脳にジャッジされた「選ばれし記憶」だけが長期記憶へ移行していきます。
長期記憶の中には意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶など様々な記憶の種類がありますが、単純に分けると「無意識的な記憶」と「意識的な記憶」に分けられます。
例えば運動に関する手続き記憶というのは、無意識的な記憶です。歯磨きやシャンプーなど、ほぼ無意識で行っていますよね。このような手続き的な記憶は、無意識で覚えたり取り出したりする記憶です。
逆にエピソード記憶のような意識的な記憶は、「思い出そう」と思って意図的に思い出せる記憶です。試験など「思い出す」ことを問われる場面で活きるのは、こうした意識的な記憶たちです。
今回は特に、エピソード記憶の機能について触れ、暗記にとって最適なエピソード記憶を多く作り出す方法についても述べていきます。
本当に使える記憶「エピソード記憶」
記憶の種類は多岐にわたりますが、それぞれが異なる性質によって分類されています。
エピソード記憶は読んで字のごとく「エピソード」を記憶しておく場所になります。誰がどこでいつ何をしてどうなったのか、それについて誰がどう思ったのか、といったようにどんどん物語を紡ぐ記憶です。
あなたの覚えている物語や、映画のストーリー、日常の面白い話などはすべてこのエピソード記憶によって一連の流れで思い出せるようになっているのです。特徴としてエピソード記憶は忘れにくく、覚えやすいことが挙げられるので、まさに暗記に適した記憶なのです。
が、普通に暗記しているだけでは記憶の領域が異なるため、長期記憶の中でもエピソード記憶ではなく意味記憶と呼ばれる場所に格納されてしまいます。
これらの記憶をテクニックによってエピソード記憶に入れてしまう、というのが今回紹介する最適な勉強法の目的です。
こちらの記事でも、勉強した内容をエピソード記憶に入れる方法についてご説明しています。
記憶は覚えるものじゃなく、覚えてもらうもの
脳が重要だと判断すれば、記憶は勝手に定着していきます。
これは本能的なもので、情動経験が結びついた記憶というのは深く刻まれて忘れなくなる傾向があります。
情動は生存に直結していますので、その情動が結びついた記憶はこの先を生き抜くために必要である可能性が高い、と脳がジャッジし、長期記憶へ送るのです。
裏を返せば、長期記憶へ記憶を送り、定着させるためには脳のジャッジをくぐる必要があり、そのためには「悲しい」「嬉しい」「楽しい」といった情動を生み出す必要があります。例えば面白い映画や小説はいつまでも覚えているものですよね。
それでは更に一つ深掘って、どうすれば情動を生み出せるのか考えてみましょう。
あなたはどんな情報に触れたときに情動を感じますか?
答えは物語です。
多くの人が物語で笑ったり、泣いたりした経験を持っているはずです。
誰がどこでいつ何をしてどうなったのか、それについて誰がどう思ったのか……おや、エピソード記憶と同じですね。
そう、エピソード記憶が定着しやすい理由は「情動を含みやすい」からでもあるのです。
ここまで御覧頂いた方にはお分かりいただけたと思いますが、記憶法として最も適している方法は「物語」を作り「情動」を生み出すことです。
情動を生み出すストーリーを組み立てる
何だか難しいことのように思えますが、そんな事はありません。
例えば有名な語呂合わせ「富士山麓にオウム鳴く」は平方根の数値を覚える上で出てくるものですが、数学からいきなり富士山へ飛び、さらに富士山とは結びつきそうにもないオウムが鳴いている描写が入ります。意外性連発です。
この突拍子もないストーリーが意外性となり、また語呂の良さも手伝ってとても覚えやすい内容になっているのです。
他には元素表の覚え方も、このストーリー作成法を用いたものです。
「水兵リーベ、ぼくの船」から始まる語呂合わせですが、この「水兵リーベ、ぼくの船」の点はまさにストーリーですよね。
誰(水兵リーベ)が何(ぼくの船だと主張)をしたのかがハッキリ分かる文章になっていますから、少なくともこの部分は覚えている、という方も少なくないですよね。
これらの例に共通しているのは「暗記したい内容」を用いて「ストーリー」を作っているということ。
今あなたがどのような内容の勉強をしているのかにもよりますが、暗記できる部分があればその単語や頭文字、数字をいろいろな角度から見て、あなたがストーリーを作ってみてください。
紹介した水兵リーベや富士山麓は誰にでも伝わるように一般化されつつうまくストーリー化されていますが、あなたが作るストーリーはあなたがもう一度思い出すために作るものです。
他の誰かにわかりやすくする必要はありませんし、むしろあなたにとって特別な情報(自分や家族の名前、好きなもの)が盛り込まれているほうが情動も生じやすくなり、記憶しやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のポイントは以下の3つです。
- 長期記憶の中には意味記憶とエピソード記憶があり、暗記は基本的に意味記憶へ格納される
- 情動が生じるエピソード記憶へ格納することで思い出しやすくなり、そのためにはストーリーを作るのが最適
- 自分にだけ分かる内容で良く、むしろ自分にしかわからないくらい特別な内容をふんだんに盛り込むと効果UP
記憶とは、私達の人生や思考に密接に結びついた概念であるにもかかわらず、誰もが無意識に扱っている部分です。
今一度その機能や有り様に着目してみることで、これまでできなかったことができるようになったり、幅が広がります。
当記事とは別に記憶について、より詳細に解説している記事をご紹介して結びとさせて頂きます。
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